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今回は, 中川 恵一東京大学病院准教授が日経に連載している 「がん社会を診る」 からの引用です. 参考にして戴きたい.
癌検診では, 一次検査で癌がありそうな人を選別し, 精密検査で本当に癌があるか如何か判定します.
一次検査で異常がない場合は, 次回の検診を受診する事になりますが, 陽性と判断された場合には, 精密検査を受診する事が必要です.
検診で見付かる様な早期の癌では, 多くの場合, 9 割以上の治癒率が得られますから, 過度の心配は不要です.
寧ろ, 癌を早期に発見するﾁｬﾝｽだと捉えて貰うべきでしょう.
大腸癌の場合, 一次検査 (便潜血検査) で陽性となっても, 精密検査を受けない人が多いのが問題です.
市町村が実施する住民検診での精密検査の受診率は, 乳癌で最も高く (88%), 肺癌 (83%), 胃癌 (ﾊﾞﾘｳﾑ検査, 82%), 子宮頚癌 (75%) と続き, 大腸癌が 71% と最も低くなっています.
便潜血検査で陽性となった人のうち, 3 割が内視鏡検査を受けていませんが, 理由として, 時間がない, 費用が掛かるなどの他, 多くの人が 「痔の為だろう」 を挙げています.
然し, 痔のありなしで, 便潜血検査の陽性率は略変らないと言うﾃﾞｰﾀもあります.
また, 痔だけが原因で陽性になる確率は僅か 2% 程度と言われています.
大腸癌の場合, 大腸の奥深い場所で出血が起こります.
この場合, 便は未だ固まっておらず, 液体状のままです.
癌からの出血は便とよく混ざり合いますから, 陽性となる可能性も高くなります.
一方で, 痔は肛門の近くに出来ますから, 便は固体になっている事が多く, 出血があったとしても便の表面に付着する程度で, 潜血検査陽性になる様な影響を及ぼす可能性は低いのです.
詰り, 痔があろうとなかろうと便潜血検査で陽性となった場合は, 内視鏡検査を受ける必要がある訳です．
日本とは大腸癌検診の進め方が異なる米国では, 50 - 75 歳の 6 割以上が, 過去 10 年に大腸内視鏡検査を受けています.
この結果, 元々日本人よりずっと高かった米国の大腸癌の年齢調整死亡率は過去 40 年間で半減し, 男女とも日本人を下回っています.
米国の予防医学の金字塔ですが, 日本も負けてはいられません. (引用終り)
"痔の所為だろう" と言う考えは, "癌なんかであって欲しくない" と言う或る種の懸念が為せる業なのであろう.
Have a nice weekend!
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