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東京大学の新蔵 礼子教授らの研究ﾁｰﾑは, 腸内の様々な炎症を抑える効果がある新規抗体医薬候補の開発に成功したと言う.
体内に悪影響を及ぼす腸内細菌の働きを制御する事が出来る.
創薬ｽﾀｰﾄｱｯﾌﾟなどと協力し, 2 - 3 年以内に 「潰瘍性大腸炎」 や 「C･ﾃﾞｨﾌｨｼﾙ感染性腸炎」 と言った難治性の腸炎治療の臨床試験 (治験) 開始を目指す.
人の腸内には乳酸菌やﾋﾞﾌｨｽﾞｽ菌と言った良い影響をもたらす細菌, 大腸菌や黄色ﾌﾞﾄﾞｳ 球菌と言った悪影響を与える細菌などが菌種毎に塊となって 「腸内細菌叢」 を形成している.
健康な人は良い細菌と悪い細菌がﾊﾞﾗﾝｽを取りながら共生しているが, 病気の人はこのﾊﾞﾗﾝｽが崩れている.
この状態は 「ﾃﾞｨｽﾊﾞｲｵｼｽ」 と呼ばれ, 消化器疾患に限らず, ｱﾚﾙｷﾞｰ疾患, 精神疾患など様々な病気に影響を与えているとされる.
研究ﾁｰﾑはこの腸内細菌のﾊﾞﾗﾝｽに着目し, 腸管でつくられる 「IgA」 と呼ばれる抗体の性質が関与している事を突き止めた.
IgA 抗体の活動が弱いと腸内細菌叢の免疫が過剰に働く様になり炎症を引き起していたと言う.
IgA 抗体の種類について詳しく調べた処, 大腸菌など体内で悪い影響を与える種類の細菌に幅広く影響する 「W27」 と言う IgA 抗体がある事が判明した.
そこでマウス腸管由来の W27 抗体を人工的に作製し, 大腸に炎症やﾎﾟﾘｰﾌﾟが出来るﾏｳｽに経口投与した処, 炎症や腫瘍の発生が抑制出来たと言う.
尚, 新蔵教授は W27 抗体を大量に作製する技術の開発にも成功しており, ﾊﾞｲｵｽﾀｰﾄｱｯﾌﾟのｲｸﾞｱﾙﾌｧﾝ (東京･文京) を 2022 年に設立した.
難治性疾患に対する創薬を目指すﾊﾞｲｵ企業のﾌｨﾃﾞｭｰｼｱﾒﾃﾞｨｶﾙ (東京･中央) とﾗｲｾﾝｽ契約を結んだ.
現在, ﾌｨﾃﾞｭｰｼｱﾒﾃﾞｨｶﾙと協力し, 治験に向けた資金調達を進めている由.
本日のｶｯﾄ写真 : 下平 宏氏ﾌｫﾄｷﾞｬﾗﾘｰから (夏雲)
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