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慶応義塾大学と, JSR は, 肝臓の働きや構造を再現した 「ﾐﾆ器」 (ｵﾙｶﾞﾉｲﾄﾞ) を成人の肝細胞から作製する事に成功したという..
従来は肝臓の働きを十分には再現出来ていなかった. 創薬研究で候補化合物の毒性を調べる用途や, 肝臓の病気の病態解明に役立つとの事.
研究成果は英科学誌ﾈｲﾁｬｰに掲載された.
研究ﾁｰﾑは, 成人の肝細胞を機能を保ったまま増やす鍵になる物質を特定し, 情報伝達物質であるｻｲﾄｶｲﾝの一種を降り掛けて培養すると, 約 2 週間で 100 万個まで肝細胞が増えた.
従来の手法では本来の肝臓の働きを失い, 消化液の通り道を構成する胆管細胞に変化してしまった.
また, 増やした肝細胞を成熟させる手法も確立した.
体内に元々あるﾎﾙﾓﾝを数種類加えると, ｵﾙｶﾞﾉｲﾄﾞが本物の肝臓に似た構造になり, 遺伝子の働き具合や, ﾌﾞﾄﾞｳ 糖や尿素を作る能力が成人の肝細胞と略同程度だった.
開発した手法で作ったﾋﾄのｵﾙｶﾞﾉｲﾄﾞを肝機能が低下したﾏｳｽに移植した処, 肝臓が正常に働く様になった.
遺伝子を自在に改変するｹﾞﾉﾑ編集技術を用い, 生まれつきｱﾝﾓﾆｱを分解する肝臓の機能が低下し, 脳症などを引き起す「OTC 欠損症」 の細胞を作った.
ｵﾙｶﾞﾉｲﾄﾞにすると, 病態を再現出来る事も確かめた.
創薬の研究では毒性を調べるのにﾋﾄ の凍結した肝細胞を使う. だが高額な上, 細胞の品質がﾊﾞﾗﾂｸのが課題だった.
今回開発した手法を使えば 1 ｶ月程で, 毒性試験に使うのに十分な量を安定的に作れる. 品質も担保出来, 創薬の研究がし易くなる.
会見した慶応大の佐藤 俊朗教授は 「既存の創薬研究向け市場に対して, ｹﾞｰﾑﾁｪﾝｼﾞｬｰになりうる技術だ」 と強調する.
他にも脂肪肝などの病気の研究や, 再生医療による治療法の開発にも役立つとしている.
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