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東京大学の岩坪 威教授や新美 芳樹特任准教授らは, 新たな血液検査技術がｱﾙﾂﾊｲﾏｰ病を発症する前の早期診断に利用出来る事を日本人を対象とした調査で確認したと言う.
発症に関わると言われる蛋白質の脳内の蓄積を高い精度で予測出来る.
将来の早期の診断や治療に繋がる成果との由だ.
ｱﾙﾂﾊｲﾏｰ病の治療では, 脳内に蓄積される蛋白質 「ｱﾐﾛｲﾄﾞﾍﾞｰﾀ」 に作用する薬 「ﾚｶﾈﾏﾌﾞ」 が 2023 年に国内で承認された.
ただ投与するには, 脳内の状態を画像で確認出来る PET 検査や脳脊髄液検査で, ｱﾐﾛｲﾄﾞﾍﾞｰﾀの蓄積を調べる必要がある.
検査が可能な医療機関の数に限りがある上, 患者の身体的負担なども大きい. より簡単な血液検査で脳内のｱﾐﾛｲﾄﾞﾍﾞｰﾀの蓄積を把握出来れば, 本格的な検査の前に対象者を絞り込める.
治療薬を利用出来る患者を増やせる可能性がある.
研究ﾁｰﾑは血漿中のｱﾐﾛｲﾄﾞﾍﾞｰﾀを質量分析計で調べる島津製作所の技術や, 血中の 「ﾘﾝ酸化ﾀｳ 217」 と言う物質を検出する海外製薬会社の技術に注目した.
ｱﾐﾛｲﾄﾞﾍﾞｰﾀの蓄積が始まっているが無症状の 「ﾌﾟﾚｸﾘﾆｶﾙ期」 や, 認知機能の低下があるが認知症にはなっていない 「軽度認知障害 (MCI)」 について, 日本人を対象にしたﾃﾞｰﾀがこれまで限られていた為, 臨床研究で調べた.
これら 2 つの検査を実施し, 脳の PET 検査の結果をどれだけ予測出来るのかを調べた.
474 人の血液を測り, PET 検査に近い結果になる程 「1」 に近い値となり, 「0.5」 になると全く診断出来ない意味となる指標で評価した.
血漿中のｱﾐﾛｲﾄﾞﾍﾞｰﾀを調べる検査は 「0.85」, ﾘﾝ酸化ﾀｳ 217 を調べる検査は 「0.91」 と優れた結果が出た.
これらの検査方法を組み合わせると, ﾌﾟﾚｸﾘﾆｶﾙ期では 「0.948」, MCI では 「0.955」 と更に性能が高まった.
岩坪教授は 「ﾘﾝ酸化ﾀｳを用いた方法は革命的だ」 と評価する.
血液の検査で脳でのｱﾐﾛｲﾄﾞﾍﾞｰﾀの上昇を予測出来, 臨床試験ではﾚｶﾈﾏﾌﾞが効くと値が下がる事が確認されていると言う.
岩坪教授は 「ﾌﾟﾚｸﾘﾆｶﾙ期や MCI の人の予防的な治療や診断に〓げたい」 と強調する. 2 - 3 年以内にも国内で実用化される可能性があると言う.
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