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たのしみは 朝おきいでて 昨日まで 無かりし花の 咲ける見るとき
この歌は, 江戸末期の歌人・橘 曙覧 (タチバナノ アケミ) の短歌集 『独楽吟』 の中の一首である.
橘 曙覧は, 越前国 (現福井県) の商家の生まれであったが, 幼くして両親を亡くし, 家督を弟に譲り, 28 歳で隠居.
その後, 本居 宣長の弟子で, 飛騨高山の田中 大秀に入門し, 歌を学び, 独学で歌人として精進を続けたと言われる.
因みに, 正岡 子規は, 明治 32 年, 「日本」 紙上に発表した 「曙覧の歌」 で, 源 実朝以後, 歌人の名に値するものは橘 曙覧ただ一人と絶賛し, 「墨汁一滴」 においても, 「万葉以後において歌人四人を得たり」 として, 源 実朝・田安 宗武・平賀 元義とともに曙覧を挙げている.
『独楽吟』 は, 日常のありふれた出来事の中に愉しみを見出す心の在り様を, 総て "たのしみは" で始まる歌 52 首を編纂したものである.
1994 年, 今上天皇, 皇后が訪米の折, 当時のビル・クリントン大統領が歓迎の挨拶の中で, 日本人の感性の豊かさを賞賛すべく , 冒頭の 1 首を引用した事から, 橘 曙覧の名と歌は再び脚光を浴びる事になったのである.
『独楽吟』 には次の様な歌も採り上げられている.
たのしみは草のいほりの筵敷き ひとりこゝろを 靜めをるとき
たのしみは 妻子 (メコ) むつまじく うちつどひ 頭 (カシラ) ならべて 物をくふ時
たのしみは そゞろ讀 (ヨミ) ゆく書 (フミ) の中に 我とひとしき 人をみし時
たのしみは 世に解 (トキ) がたくする書の 心をひとり さとり得し時
たのしみは 三人の兒ども すくすくと 大きくなれる 姿みる時
たのしみは いやなる人の來たりしが 長くもをらで かへりける時
橘 曙覧が謳い上げた, 日本人の心の原点とも言うべき優れた感性がこの頃薄れてしまっている様に思うのであるが, 如何なものであろうか?
「足るを知る」 事が出来れば, 人生は至る所に 「愉しみ」 を見出す事が可能である, と 『独楽吟』 は教えて呉れている様に思うのである.
本日のカット写真提供 : 下平 宏氏 (カモ・シリーズ)
Have a nice holiday!
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