この頃世の中を騒がすもの
2010-09-06


近頃のニュースは何となく心を暗くするものが多過ぎる様な気がする.

自分の時間が欲しいからと, 3 歳と 1 歳の我が子を部屋に置き去りにして餓死させてしまった 23 歳の女性がいたかと思うと, 100 歳超の高齢者の所在不明が次々と明らかになり, 超長寿時代が虚構に過ぎなかった事が明らかになった.

そのきっかけとなった, 東京都内で男性最高齢とされていた 111 歳のケースでは, 家族が 30 年以上にも亘ってその死を意図的に隠しただけでなく, 白骨化した死体と共に家で同居し続け, 親の年金を貰い続けていたらしい. 

更に, 驚いた事には, 100 歳を超えた所在不明の肉親について, その息子や娘でさえ, 親の現況について何の情報も持ち合わせていないと言うか, 連絡を取り合っていない事が殆どなのである.

この様に, 消えた超高齢者の中には, 親の年金に頼らざるを得なかったと言う家庭事情もあった様であるが, 悪意を持って, 意図的に親の死を隠していたケースもまた少なくない様だ.

また, ’09 年度の児童虐待は, 44,210 件に上るという.

これは 「虐待」 であることが確認された件数であるから, 実際にはもっと多いと言う事になる.

虐待が判っても, 子どもを虐待を続ける親から引き離し, 収容する施設も必ずしも充分ではないと言う, 制度上の問題も潜んでいるらしい.

また, 或る調査によると, 子育て中の母親の 3 割近くが, 子どもに対する自分の行為を 「虐待」 と感じた事があるとの事である.

その多くの母親は, 頭では 「してはいけない」 と分っていても先に手が出てしまうのだと言う.

一方, 虐待ではない, と回答した母親は 「虐待かもしれない」 と冷静に考えられる自分が未だいるので、虐待の域には未だ至っていない, と考えているから, との由。.

躾と虐待の間で悩む母親は, 気持を共有できる家族や身近な相談相手を周囲に持っていない事が多い様である.

以前, 本欄で 「無縁死」 を取り上げた事があるが, 実際, 家族の崩壊がここまで進んでいたのか, との思いを新たにした次第である. 

何ともやりきれない思いがするのは, 私だけでは無い筈だ.

かつて, 我々は, 細やかで温かい家族関係を維持し, 地域社会に見守られながら生きて来た様に思うのである.

映画 「男はつらいよ」 のフーテンの寅さんではないが, 下町に連綿として生き続けて来た古き良き (か否かは別として) 人情の世界, 家族の絆の伝統が, 核家族化の進展に伴い, 失われてしまったのだ.

私が楽しみにしているテレビ番組の一つが 「鶴瓶の家族に乾杯!」 であるが, これは, 笑福亭鶴瓶とゲストの二人で, 日本各地の 「家族」 を訪れ, 親子の絆や触れ合いやらを確かめる, と言う内容のものだ.

この番組では, 毎回 「家族っていいなあ!」 と思わせてくれる. この番組を見ていると, まだまだ日本の家族も棄てたものではない, と思うのであるが, 一方では, 上記の如く, 人間性を否定し, 悲惨とも, 残酷とも言い様のない事件が起っている訳である.

親の子に対する愛情は, 本質的に 「無償の愛」 である, と従来思って来たが, 最近は, どうもそうでもないらしい.

然し, 子の親に対する愛情は 「無償」 とは言い難いようである. 地獄の沙汰も金次第, とまでは, 言いたくないが, 親に対する 「介護放棄」, 子に対する 「育児放棄」 や 「虐待」 など, 如何すれば, 防げるのだろうか?

私には, ストレスに満ちた現代社会は 「精神の健康」 が保たれ難いことに, 一つの要因があるように思うのである.
-----------------------------------------------------------
はり・きゅう・マッサージ トミイ
[URL]
(なお, 診療予約時、「健康小話」 を読んだ, と言って戴いた患者さんは,
初診料が半額になります.)
心や身体に関する悩み事など, お気軽にご相談下さい.
E-Mail : tadashi.fukutomi@tcat.ne.jp
English speaking clients are welcomed!
[コラム]

コメント(全0件)


記事を書く
powered by ASAHIネット