NHK スペシャル 「命をめぐる対話」 を見て
2010-03-22


昨夜 (2010-03-21) NHK スペシャル 「命をめぐる対話」 と言う番組が放映された.

この番組は, 筋萎縮性側索硬化症 (ALS = Amyotrophic Lateral Sclerosis) と言う, 運動ニューロンの変性疾患の一種で, 極めて重篤な筋肉の萎縮と筋力低下を来すが, 進行が非常に速く, 患者の半数程度は発症後 3 年から 5 年で呼吸筋が麻痺して死に至る病である.

現在の処, 有効な治療法は確立されておらず, 1974 年に特定疾患に認定された指定難病である.

米大リーグの選手だったルー・ゲーリックが罹った事から 「ルー・ゲーリック病」 とも呼ばれているが, 毛沢東や, かの有名な科学者, スティーブン・ホーキンス博士もこの病気だとの説がある.

本人の意識は明瞭であるにも関らず, 喋ることも身体を動かすことも出来ず, 自分の意思を他人に伝える事が困難を極める状態を 「閉じ込め症候群」 とか 「閉じ込め状態」 と呼んでいる様だ.

昨夜の番組では, この難病と闘っている幾人かの患者さん, 特に, 全身の筋肉が動かなくなった照川貞喜さんが, 頬の僅かな動きをセンサーに感知させる事で, パソコンを操作し 「完全な "閉じ込め状態" に陥ったら死なせて欲しい」 との要望書を綴った事が大きな波紋を呼んでいる事を紹介していた.

「闇夜の世界では生きられない. 自ら人生を終らせる事は "栄光ある撤退" である」 と照川さんは闘病生活を経て結論付けたのである.

ノンフィクション作家の柳田邦夫氏は, 照川さんのこの様な訴えに深い関心を抱き, 照川さんを訪問, 半年に亘り 「命とは何か」 を巡っての対話を続けた記録番組であった.

命とは自分自身のものである事に異論はない. が, 命は, また自分一人だけのものでもないと言う側面も持合せている. 少なくとも, 自分と密接な関わりを持つ家族のものでもある.

我々は照川さんの訴えに如何応えればいいのだろうか?

一人の人間が生きて行くとはどの様な意味を持つのか?

あなたが照川さんだったら, 或いは照川さんの家族だったら, 如何対応するのだろうか?

十人十色と言う言葉があるが, 人間一人ひとりが夫々の役割を担ってこの世に生を受けた訳であるから, その答えは一様ではない筈だ.

番組では, 命という極めて重いテーマを取り上げていたが, ALS に限らず, 難病を前に, 為す術もない医学の虚しさを改めて痛感した次第である.
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はり・きゅう・マッサージ トミイ
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